CULTURE

2022.02.15

映画監督・伊達忍。「宮崎、もっとカオスになればいいっすよね」

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「高校を卒業したら県外の大学へ行きます」「就職で東京の企業に勤めることになりました」。そんな宮崎で暮らす10代20代の若者は少なくない。外の世界へ憧れる、あるいは仕事を求め故郷を出る姿は、ある種通過儀礼のようでもある。とくにクリエイターやアーティストを志す者にとっては、都市部へ出たほうが自分の求めている刺激や人との出会いは簡単に手に入るかもしれない。しかし、ここ数年の宮崎は地元で活動する若手クリエイターが増え、新たなカルチャーシーンが盛り上がりつつある。

“軽いノリ”からはじまった映像制作

伊達忍もその一人だ。生まれてから今までずっと宮崎暮らし。

25歳という若さで自主映画やミュージックビデオの監督として映像作品を撮ってきた。脚本や演出も自らこなし、ひたすらカメラを回す。それらは街中のイベントで上映されたり、Youtubeを通してネット上にも配信されている。伊達が描く世界観に魅了され、ファンになる人は多い。彼に映像を撮ってほしいという依頼は個人から企業、そして行政からも舞い込む。同世代の仲間と若手クリエイティブチーム「ROOMMATE」を結成しショートドラマを発表するなど、その活躍はとどまることを知らない。

伊達が映像を撮りはじめたのは「遊びも含めれば」高校2年生からだという。

「最初は軽いノリで友だちとiPhoneで走ったりするだけのものとか、映画っぽいシーンを真似して撮っているだけだったんです。素材が溜まってきた段階で『編集してみようよ』ってなって、試行錯誤しながらカット割をやってみたり。『柵を乗り越える』だけのシーンでも、あらゆる角度から同じ瞬間を撮って、それをつなぎ合わせる。それが綺麗につながったときの気持ち良さ! 快感ですよ!」

ストーリーを構想したり、絵コンテを描いたりと「映画少年っぽい感じ」で過ごしていたという。そして、卒業からすぐに自主映画を撮りはじめた。と、ここで多くの人はそのタイミングで上京や映像の学校へ進学は考えなかったのか? と思うかもしれない。

「いや、考えてはいたんですよ。でも東京へ行く勇気がなかったし、意思が弱いんすよ僕。夢に敗れて故郷に帰ってくる…というのが目に見えていたので。お金は貯めていたから、もう撮っちゃえって。同世代より数撮ってアピールしていこうと」

とにかく作品を残して死ねればいいんです

「僕は訴えかけたいメッセージってないんですよ。ただ『このカメラワーク』で撮りたいという気持ちが強いだけで」

この言葉には驚いた。なぜなら、伊達の監督する作品はどこか叙情的、詩的な部分を持ちながら、役者の表情やセリフから「何か」を受けとってしまうからだ。

「僕はとにかく作品を残して死ねればいいんです。だから訴えたいこともないし、自分が目立ちたいとも思わない」


作品を撮り、残し続けること。それは彼が映像という仕事を選んだ基準にもなっていた。絵を描くことが好きだという伊達は、もともと絵描きに憧れていた。しかし、絵を描き続けていくことと、それが仕事になるということが、どうしても結び付かなかった。そんななか、映像なら仕事としてやっていけるかもしれない、という思いから映像の道を歩むようになった。

しばらくフリーランスとして活動し、2020年からは知人の映像制作会社へ入社した。それまで独学と自分の感覚を頼りに制作していたところ限界が見えてきたという。業界の仕事を経験するうち、自分の過去の作品に対して「なぜこのカットが必要なのか」「なぜこのシーンを撮りたかったのか」客観的に見ることができるようになり、作品の撮り方も変わってきた。「アート寄りのイメージが付きたくないから」と自らのクセを抑え、ストイックに仕事に臨んでいる。

会社員として勤める一方、今でも精力的に映像制作を続けている。伊達は地元宮崎で活動している役者やアーティストを、宮崎の地で撮るということにこだわっている。そこには彼の見たい宮崎の姿があった。

「最近では宮崎でも完結できる作品づくりを意識してます。マネタイズも宮崎で十分できるっていう土壌づくりをしたい。この5年間の目標でいうと、宮崎といえば映画だし、音楽だし、芸術だよねって認知されるような活動をしたい。SNSやネットのおかげで、才能ある人が出やすい状況じゃないですか。たとえ宮崎っていうローカルな土地でも、前例をつくってしまえば本当に才能のある人たちがいっぱい出やすくなる。カオスになればいいっすよね(笑)もっと溢れかえらないと(笑)」

文:半田孝輔 写真:田部祐徳

伊達忍監督最新作 映画「月と。」追加上映情報

10/29(土) GOLDEN SLUMBER14:00〜25席限定 ¥2,000
10/30(日) The Film19:00〜20席限定 ¥3,000
11/6(日) Sound Station LENNON20:00〜30席限定 ¥2,500
11/12(日) ニュージアム14:00〜10席限定 ¥1,500
12/11(日) CHILK19:00〜15席限定 ¥2,000
※一般上映会時のチケット・半券をお持ちの方は上映料金半額でのご鑑賞※上映の15分前開場※各回本編約40分+メイキングムービー約30分の上映もございます※クラファンリターンチケットをお持ちで未鑑賞の方は上映料金無料でのご鑑賞
下記専用予約フォームからご予約をお願い致します。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeAzUjpHr_P_R0pkUyiYbHxzIE5pYcMOh1oDC3wEAOKhOS7bw/viewform


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伊達忍(jumpcut)

1996年宮崎県生まれ。自主映画、宮崎県内アーティストのMV、企業PR映像を制作。現在は映像制作会社に勤める傍ら、映像制作チーム「jumpcut」にてオリジナル作品を発表。​また、若手クリエイティブチーム「ROOMMATE」のメンバーとして連続ドラマ「lifehack」をYouTubeで公開し反響を呼んだ。

LINKhttps://www.youtube.com/c/jumpcutmiyazaki

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